2016年4月18日
難易度・用途別建設業の資格パーフェクトマッピング
資格が欠かせない建設業界
建設業を営むには品目ごとに許可が必要なのはご存じの通りですが、許可を得るための4要件の1つに、「専任技術者の在籍」があります。専任技術者となるためには、許可を得る項目により、特定の国家資格等が必要です。こうした条件を中心に、建設業界では資格保有が欠かせません。今回は専任技術者に必要な資格を、難易度と用途別にご紹介していきます。
建設業界における資格の重要性
建設業界に身を置く会社は有資格者の急な退職などにより、事業の要となる建設業の許可が維持できなくなるリスクがあります。リスク回避のためにも常に社員教育をし、スキルと資格を保持してもらうことが重要です。資格取得に必要な勉強は業界業務に即しているので、社員研修にも最適です。許可要件が多い建設業界だからこそ、社員育成をチャンスに転換できます。大手企業では資格を取得した者に対し手当や一時報奨金を支給して、更なる勉強や取得を促すケースも珍しくありません。
景気の回復傾向を受けて建設業界では利用する事業者が減っていますが、雇用調整助成金の雇用調整にあたる教育訓練を実施する企業も多くあります。
みなさんは厚生労働省主催の「雇用調整助成金」についてご存じでしょうか? 景気変動や産業構造変化などの経済的理由により、事業規模の拡大が難しくなり縮小せざるを得なくなった事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することで、従業員の雇用を維持した場合に助成金が支給される仕組みです。
雇用調整(教育訓練)の一環として資格取得の勉強を取り入れれば、雇用を維持しつつ社員のスキルアップが図れます。受給要件が厳しい制度ですが、うまく活用すればキャッシュフローに大きく貢献するので、検討の余地があるのではないでしょうか。
建設業の種類別 専任技術者になれる資格一覧
建設業の許可には通常の「一般建設業許可」と、元請として受注した工事1件につき、3,000万円(建築工事業の場合は4,500万円)以上となる下請契約を結ぶ場合の「特定建設業許可」があります。どちらにしても専任技術者になるには、一定の実務経験を有しているなどの条件を満たさなければなりませんが、「営業所専任技術者となりうる国家資格者等」は経験不問で専任技術者となれます(ただし受験資格として実務経験が問われるものが多い)。
◎別表技術士法「技術士試験」合格率(2015年度)
技術部門 |
合格率 |
技術部門 |
合格率 |
機械 |
20.7% |
農業 |
14.7% |
船舶・海洋 |
18.2% |
森林 |
23.1% |
航空・宇宙 |
23.7% |
水産 |
17.9% |
電気電子 |
15.8% |
経営工学 |
25.9% |
化学 |
27.9% |
情報工学 |
17.6% |
繊維 |
27% |
応用理学 |
14.8% |
金属 |
45.6% |
生物工学 |
40% |
資源工学 |
28.6% |
環境 |
16% |
建設 |
11.9% |
原子力・放射線 |
24.7% |
上下水道 |
14.7% |
総合技術監理 |
20.2% |
衛生工学 |
11.9% |
合計 |
14.7% |
社員研修として狙い目の資格は?
この中でも難関の試験は「一級建築士」や「電気主任技術者」、「建築設備士」などです。技術士試験も合格率が低いものが多く、難関資格だといえるでしょう。
もちろん業種により取得する資格の選定が必要ですが、「1級土木施工管理技士」「1級建築施工管理技士」などの汎用性が高い資格は学科の合格率が50%前後となっており、それほど難易度は高くありません。このように汎用性が高く合格率のよい資格は、社員研修に取り入れる資格としてもねらい目なのではないでしょうか。
おわりに
資格取得に積極的な従業員は、向上心や意欲があります。そこで報奨金制度を用意するなどして資格取得を支援し、事業主側から積極的な社員育成の意志をアピールしてみましょう。社員育成は会社の長期的な資産形成だということを、事業主側と従業員側で共有するのです。社員もきっとこの変化に気づくはずです。充実した社員研修で、ぜひ売上増強の基礎固めをしていきましょう。
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