2024年11月8日

遮水シート

【15年の耐用年数】 遮水シートの選び方-廃棄物処分場に必要な「耐候性」をチェック

一般廃棄物処分場や産業廃棄物処分場には、さまざまな種類の遮水シート(防水シート)が利用されます。廃棄物処分場に必要な遮水シート(防水シート)の選定方法について説明いたします。

遮水シートの穴や亀裂で、重大な環境汚染を引き起こす可能性

遮水シートの目的は、有害物質などを含む浸出水を溶出させないことです。有害物質が漏れれば、汚染の原因となります。溶出している場所の特定が困難であることも含め、漏れ出すと長期に渡り環境を汚染し、周辺住民への健康被害を引き起こす要因となり得ます。遮水シートは長期にわたり、穴や亀裂が発生し難い性能が求められます。


遮水シートは15年以上の耐久性が必要

廃棄物処分場の運用年数は、15年が一つの目安とされています。15年の耐用年数を備えた遮水シートを選びましょう。遮水シート(防水シート)に一番重要なのは、耐候性(紫外性変化性能)です。ほかには、熱安定性や耐ストレスクラック性、耐薬品性、シート自体の安全性などのチェックポイントがあります。


廃棄物処分場向けの遮水シート(防水シート)として一番重要な耐候性と耐用年数とは?

遮水シートは、高分子材料であり、熱や雨風、日射などの環境負荷により劣化します。特に紫外線による劣化の影響が大きく、遮水シートの耐用年数を計算するにあたり、耐候性(紫外線変化)試験が利用されます。

耐候性試験は、強い紫外線の照射を行い、紫外線に対する抵抗力を評価する試験です。JIS等の規格があります。JIS A1415 WS型保進暴露試験では、200~300時間が自然暴露の1年に相当すると考えられています。5000時間の照射をクリアできれば、15年の耐用年数があると計算できます。


遮水シートを選ぶ基準の一つとして、耐候性(紫外線変化)試験の結果を参考に、15年の耐用年数が確認できた製品を選びましょう。


廃棄物処分場向けの遮水シート(防水シート)の厚さについて

十分な遮水性を保証する一つの目安として、1.5mm以上の厚さが必要と考えられています。一般的な厚さの測定方法は、遮水シート幅方向5箇所の厚さを測定した平均値が厚さとなります。測定値は、-10%から+15%までの幅があるとされています。


ちなみに不透水地盤の場合は5m以上。粘性土の場合は0.5m以上。アスファルトコンクリートの場合は0.05m以上です。遮水シートは1.5mm以上の厚さなので、それらと比べると遮水シートは非常に薄いです。


遮水シート(防水シート)のその他の基準

熱安定性や耐ストレスクラック性、耐薬品性、シート自体の安全性なども確認しましょう。廃棄処理物に合わせて各種基準も確認が必要です。熱安定性試験とは、高温で劣化することが無いかを確認するテストです。遮水シートの表面は、夏には70℃近くまで上昇します。80℃×240時間などのテストにより、熱安定性の劣化評価をするものです。


耐ストレスクラック性とは、剛性の高い遮水シートは、疲労後に割れが発生する場合があります。高弾性タイプの遮水シートでは、耐ストレスクラック性試験が重要となります。耐薬品性とは、遮水シートが酸性雨(PH=3)やセメント水(PH=12)などの酸やアルカリ性の環境を想定した耐久試験です。


遮水シート自体の安全性とは、遮水シートから有害物質が発生していないか、確認するテストです。遮水シート自体が汚染物質では、元も子もありません。一度でも公害問題が起きれば、会社にも社会にも長期に渡る悪影響を及ぼします。コスト意識も重要ですが、未来のある社会を実現するためにも、環境に配慮した遮水シートを選びたいものです。

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