建設現場の暑さ対策・熱中症対策

2018年04月23日

夏の暑さ・熱中症対策

厚生労働省によると、職場での労働中に熱中症を発症し、そのまま亡くなってしまっている死亡者の数は毎年10人以上にのぼると言われています。
さらに熱中症による死傷者数を業種別に見てみると、そのうちの25~30%は建設業と言われているのです。
そのため、暑さ対策や熱中症予防に対して特に気を付けなければならない業種だと言えるでしょう。

厚生労働省ではこのような結果を受け、平成29年より「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。
このキャンペーンを通じて、同省は団体や事業現場と連携して熱中症防止に努めているのですが、その前にはまず、現場で働く一人ひとりの意識から変えなければなりません。
しっかりと熱中症対策を行い、準備や心がけを行う事が大事と言えるでしょう。

※出典 厚生労働省 平成30年度「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」

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工事現場での熱中症対策

工事現場などのような熱中症が生じやすい場所では、熱中症対策のためにいくつか気にしておきたいポイントがあります。以下にあげるような点を参考にして、熱中症を予防しましょう。


【作業環境の改善】

まずは、作業現場の環境を改善し、熱中症を予防するための環境作りを行うことが大切です。
暑さ対策として送風機や大型扇風機を用意したり、散水を行ったりすることは効果的です。また、直射日光による熱射病の発生を避けるために、遮光ネットを張るなどの施策や休憩所の日除けテントなども効果的でしょう。



【天気予報の確認】

熱中症を予防するためには、熱中症の起こりやすい作業現場の状況を知って、備えることが大切です。
その日の気温や湿度、天気、風の強さなどを知っておくことは特に欠かせないことと言えるでしょう。
作業を行う場所に温度計や湿度計を設置し、作業者の目の行き届く所に置いておくのもおすすめです。

また、暑さ指数と呼ばれる数値があるのはご存知でしょうか?これは熱中症の危険度を判断するための数値で通称WBGT値と言われています。
このWBGT値が基準値を超えると熱中症が起きやすくなるとされており、熱中症予防の大事な指標となります。



【水分補給】

水分をとりやすい環境を作り水分補給を十分に行わせるよう注意喚起を行うことは、熱中症を防ぐうえで最も大切なことです。
冷蔵庫やクーラーボックスはもちろん、給水サーバーや自販機を設置しても良いかもしれません。



【こまめな休憩】

体温の上昇を下げ、脱水症状を防ぐためにもこまめな休憩を取ることは大切です。
決して無理をすることなく、身体へ強い負荷がかかり始めてしまう前に、こまめな休憩をとるようにしましょう。
休憩所を室内にして、しっかりと体温を冷やすのはもちろん、シャワールームを設置してみるのもおすすめでしょう。



【塩分の摂取】

熱中症で引き起こされる症状の一つに熱けいれんと呼ばれるものがあります。
この熱けいれんは、発汗を原因とした体内の塩分喪失が大きな要因になります。
そのため、塩分の摂取は欠かせません。熱中飴や塩のタブレットなどを休憩所などに配置し、常に塩分を摂取できるような環境を整えましょう。



【日頃からの体調管理】

健康状態によっても、熱中症の起きやすさなどは変わります。
たとえば、直射日光の下での作業に慣れていない状態でいきなり過酷な作業に入った場合、身体が熱に順化しておらず、熱中症が引き起こされやすいとされています。
そのため、熱への順化がまだできていない方の場合はWBGT値の基準値も低くなっています。
その人それぞれの健康状態をしっかり把握するためにも、毎日チェックを行うことが効果的でしょう。



【熱中症対策グッズの使用】

熱中症対策のためのグッズを使用して、未然に熱中症を防ぐというのは非常におすすめです。
ヘルメットインナーや体を冷やしてくれるベストやタオルなど建設現場で活躍する様々なグッツがあります。
このようなグッズを利用して熱中症を防ぎましょう。

>>熱中症・暑さ対策グッツ



工事現場での熱中症事例

それでは、工事現場で起きた実際の熱中症事例をいくつか見ていきます。

出典:厚生労働省「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(平成 30 年1月末時点速報値)

【30歳代 建築工事業のケース】

この方はマンション新築現場にてコンクリート打設の補助をしていました。
昼の作業中に、突然転倒してしまい、その後は小休止を取らせて様子を見ていましたが、異変が発生し救急車で病院に搬送されました。
救急隊が到着した際は意識があったものの、その数時間後には意識を失って、4日後には命を落としています。



【50歳代 農業のケース】

屋外やビニールハウスの中で苗の管理を行っていた方の例です。
作業開始から6時間後、辛そうな様子が同僚によって確認され、その後、ビニールハウス内で休憩を取っていた結果、異変が発生しました。
救急車で搬送されたものの、5日後には亡くなられています。この方は、この現場に採用されてから3日目でした。



熱中症の症状

熱中症は、高温多湿な環境下において、体内の水分とナトリウムなどの塩分バランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻したりしてしまうことが原因で発症する障害の総称です。
具体的な症状としては、以下のものが挙げられます。思い当たる症状を目撃した場合は、速やかに対処しましょう。


・めまいや失神 ・筋肉痛や筋肉の硬直 ・大量の発汗 ・頭痛や吐き気とそれに伴う嘔吐 ・倦怠感や虚脱感 ・意識障害やけいれんなどを含む手足の運動障害 ・高体温

熱中症の応急処置

熱中症は、早期の措置が患者の命を左右すると言われています。異変が少しでも見られた場合は、以下の手当を行いましょう。

・涼しく風通しの良い場所で安静にさせる
・経口補水液やスポーツドリンクなどで水分をとらせる
・高体温が見られる場合は、衣服を脱がし、冷水シャワーや氷でのマッサージで体温を下げる

もし手当てを行って回復が見られない場合は、直ちに医師の手当てを受けてください。


まとめ

熱中症は一歩間違うと死に繋がる恐れがある非常に恐ろしいものです。
現場での事前の対策はもちろん、個人での対策を十分に行うよう心がけましょう。
そして、少しでも体調に異常を感じたら休憩や水分・塩分補給を心がけることが大切です。

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