恐いのは労災だけじゃない。建設業者を守る保険

2016年05月09日

「想定外」は、あなたを待ってくれますか?

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建設業はマンパワーが必要でありながら重量物や機械設備を扱うため、労働災害のリスクが高い業種のひとつとなっています。仕事にともなう事故や突然の出費は、想定外だからといって決してあなたを待ってくれることはありません。そんな万が一の場合に、保険で備えて不測の事態を乗り切りましょう。

 

建設業で保険が必要とされる事例

厚生労働省発表の「業種別死亡災害発生状況(平成26年)」によると、もっとも死亡災害が多い業種は建設業で377人となっています。これは全業種合計で1,057人に対し、35.7%を占める割合です。建設業界では、毎日1人以上が亡くなっている計算となります。

労災事故が起こることで大切な従業員の健康や生命が損なわれ、会社の信用が失墜するばかりでなく、事後処理に多大な労力と費用を要することになり兼ねません。労働災害が発生しないよう安全配慮を徹底することが何よりも大切ですが、やむを得ず重大な労働災害が起こった場合に備えて、強制加入の労災保険はもちろんのこと、任意労災保険にも加入しておくべきではないでしょうか。任意労災保険なら、従業員による損害賠償請求への備えも万全です。

 

工事中の事故で第3者に損害発生!

建設現場では、そこで働く作業員だけでなく周辺の人や建物に影響をおよぼす事故が発生する恐れも考えられます。例えば突風で建設現場のクレーンが揺れ、資材が落下して通行人に大けがを負わせてしまったり、溶接の火花から引火して隣接する建物の火災を引き起こしてしまったりと、想像するだけでも恐ろしい損害が発生する可能性もあるのです。

そのような事態に的確に対応してくれるのが、「事業総合賠償責任保険」です。この保険は、上記のように工事過程での事故で第三者に損害を与えてしまったケースで補償が受けられます。損害賠償そのものの費用だけでなく、訴訟になった場合の弁護費用など関連費用まで補償されるものもあります。

 

引き渡し後の保証も

建設が終わって、施主に引き渡した建物等が原因で発生した対人・対物事故の賠償責任が補償される保険もあります。保険会社によって基本プランに含まれる場合と、追加プランとなっている場合があるので確認してみましょう。防水処理の不良個所から漏水してパソコンデータを破壊したり、補修したばかりのマンションの外壁タイルが爆裂によって落下し、通行人にケガをさせたりといった事故のリスクもカバーできます。

 

保険会社別・賠償責任保険商品比較

建設業に特化した賠償責任保険商品は、多くの損害保険会社から発売されています。これらは通常考え得る賠償責任リスクがカバーされていますが、それぞれに異なる特徴がありますので、比較した上でご自分の会社に合ったタイプを選びましょう。

 

工事中の事故補償

完成引き渡し後の事故補償

常設設備に起因する事故補償

訴訟費用補償

その他

AIU事業総合賠償責任保険(STARs)建設業向

個人情報漏洩危険担保特約

あいおいニッセイ同和損保「タフビズTOUGH-Biz」(建設業総合保険)

 

三井住友海上「ビジネスプロテクター(建設業者総合賠償責任保険)」

 

エース保険「建設エース」

地盤崩壊リスク

東京海上日動「超ビジネス保険」

 

損保ジャパン日本興亜「商賠繁盛」(工事業)

 

日新火災「ビジサポ」(統合賠償責任保険:業種別)

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特約

 

富士火災「工事王」(建設事業基本特約付事業総合保険)

 

 

加入形態を使い分けて掛金を最適化

年間で受注する工事の数が多ければ年間契約、少なければ工事ごとの契約がお得になります。工事ごとの契約は加入漏れや補償内容の重複などの問題がありますので、一定数の発注があるのなら年間契約がおすすめです。会社規模や年間売上高等で掛金が決まることが大半です。

保険料率のアップを免れようと「労災隠し」をする業者も中にはありますが、隠ぺいが発覚した場合のリスクは計り知れません。ネットで情報が簡単に手に入る時代なので、訴えられるリスクも発生してきます。事業継続には適法な対処が大前提となりますね。

 

おわりに

リスクが大きい建設業界だからこそ、保険の加入で想定外の費用や時間の浪費をなくすことには大きな意味があります。万が一の緊急事態にも万全の備えをして、安定経営につなげていきましょう。